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2024/10/12

2024年ノーベル化学賞も人工知能(AI)関連研究に授与されました。晴天の霹靂で、本当にビックリしました。この受賞は私にとっても大きな意味があります。
即ち、ソフトでもノーベル賞の対象になるということです。

 ノーベル化学賞が発表され、以下の三名に授与されました。受賞内容は「人工知能(AI)を用いたタンパク質の三次元構造予測」です。この受賞対象となったソフトは「アルファフォールド」です。

 受賞された先生はデビッド・ベイカー氏と、ジョン・ジャンパー氏およびデミス・ハサビス氏です。受賞の内容等はWEB を参照していただければ詳細がわかります。

 タンパク関連研究は直接関与していないので明確にはわかりませんが、以前より「アルファフォールド」のタンパク三次元構造創出精度は突出していると聞いておりました。今回の受賞にて、ノーベル賞を受賞するほどの高い精度を持ち、これが実際に評価されたということとなります。

*ノーベル賞の受賞基準が大きく変化している: ノーベル物理学賞に続いてノーベル化学賞でもAI関連技術に関する受賞であったことは、本当に時代が大きく変化していることを感じます。私も、化学分野で昔からデータサイエンスによる創薬研究を続けてきており、同時に機械学習という観点からニューラルネットワーク等の展開、開発等続けてきて、AIとも深く関与してきました。化学分野では化合物を扱うことが必要で、この化合物の扱いでアナログ的な観点とデジタルとの融合が大事となります。この点で様々な技術的困難さが存在しますが、頑張ってゆきたいと考えます。

ソフトウエアもノーベル賞受賞の対象になる 今回の受賞、特にノーベル化学賞で特筆すべき事項として、AIでの受賞もありますが、特に驚いたのはソフトウエア自体が受賞したということです。通常の常識として、今回の発表があるまでソフトウエアでノーベル賞の受賞はありえないと考えておりました。アルファフォールドは確かにAIシステムであり、この点が強調されています。しかし、たまたまAI の適用で革新的な高い精度と実績を出したということであり、真の受賞理由はタンパク三次元構造創出の精度を劇的に高めた事であり、この点が評価されています。これは、将来的に更なるアルゴリズムが出て現在のアルファフォールドを追い越すような実績を出せば、新たなノーベル賞も考えられるわけです。

ソフトウエア開発研究の意義が大きく変化する 今回の受賞はソフトウエアを開発する研究者にとり大きな励ましとなります。ソフトは構築しても論文にならないということで、研究とは一線をおいて扱われてきました。この基本が、ソフトウエアでも波及効果や精度が高ければノーベル賞の受賞対象になるというように大きく変わりました。ソフトは研究実施上での単なる道具にしか過ぎないという概念が変わり、ソフト自体の構築もノーベル賞の対象となることが示されました。

 ちなみに、私が以前より実施して開発してきたデータサイエンスの KY (K-step Yard sampling)は、基本原理上常に100%分類を実現する手法です。予測率向上を実現すれば、現在実施されている毒性(安全性)・薬理活性・物性評価でも大きな成果が出せるはずです。頑張ります。

*創薬全体から考えると、その第一関門が開かれた段階です: 創薬を実施しているとお分かりかと思いますが、タンパクの三次元構造がわかれば創薬完了というほど簡単ではありません。次にドッキングシミュレーションが待っており、この解決が大変です。これが完了して化合物構造式が決定されたとしても次は、私の行っているADMEや安全性評価のクリアが必要です。さらに、フェーズ1から3の臨床試験が待っています。今後、残った部分でのAI適用による創薬開発精度の向上が目指されますが、今回のノーベル賞の授与により、AIを含めたソフト関連の展開は急速に広まってくると考えます。やりがいもあるし、とても楽しい時代になりつつあると感じます。







2024/10/11

2024年ノーベル物理学賞における人工知能(AI)研究での受賞が意味するもの。 ノーベル賞の受賞の流れ/内容が変わった?

 従来のノーベル賞は「自然界に存在する物質を対象とした研究」に限っていましたが、時代とともにノーベル賞受賞の流れは徐々に変化してきました。ノーベル賞は基本的に、「人類に大きな貢献をもたらした様々な研究」に与えられるものです。この観点で、ノーベル賞も研究のみならず、研究成果による人類への貢献が大きい事例への授与も始まりました。例えば日本の研究者では、「イベルメクチン」で受賞された北里大学の大村智博士は、世界で4億人の命を寄生虫から救った実績が認められてノーベル賞を授与しました。また、天野浩博士、赤崎勇博士、中村修二博士の三名は青色発光ダイオードの開発で受賞されました。これは、光を通じた持続可能なエネルギー利用に大きな貢献を及ぼしたという事実によるものです。

 今回の人工知能関連研究の受賞ですが、人工知能研究は適用技術であり、且つ工学分野の研究なのでノーベル賞受賞の対象にはならないと考えていた私には、驚きと同時に素晴らしいことと感じました。今後のAI 関連技術の発展と展開が楽しみとなりました。



2024/10/10

2024年ノーベル物理学賞がAI関連の研究者に授与されました。これはノーベル賞としての新しい流れであり、私としてはとてもうれしいです。

 2024年度のノーベル物理学賞は人工知能(AI)に関する二名の研究者に、以下の内容にて授与されました。

『人工ニューラルネットワークによる機械学習を可能にする基礎的発見と発明』

*ジョン・J・ホップフィールド (John J. Hopfield)
 プリンストン大学、ニュージャージー州、アメリカ合衆国

*ジェフリー・E・ヒントン (Geoffrey E. Hinton)
 トロント大学、カナダ

 近代の人工知能研究は、人間の脳における神経回路網の形態を取り入れるところから始まり、ニューロンとシナプスで構成される様々なネットワーク構造を有する人工ニューラルネットワークが提案されていた。ホップフィールド先生はパターンの記憶とその記憶を思い出す能力を有する「連想記憶モデル」を提案し、近代のAIの基本を築きました。

 ヒントン先生は、ニューロンとシナプスを円形でつないだ「ボルツマンマシン」を提案し、学習データから様々な二次パラメータを計算(即ち、学習)して見せた。その後、多層形式のニューラルネットワークでの機械学習アルゴリズムである深層学習等を開発し、現在のAI草創期を導きました。

 両先生は、近代の機械学習による人工知能(AI)発展における基本である二つの事項(ニューラルネットワーク構造および学習アルゴリズム)に関して先導的な研究を実施されてきました。両先生は、最新の人工知能研究では基本中の基本の部分を構築されております。