インシリコデータ株式会社関連ブログ;Blog of the In Silico Data Ltd..

 ようこそ(株)インシリコデータブログへ。このブログでは、主としてインシリコデータのホームページでは直接編集できない細かな内容をフォローいたします。本ブログ内容等に関する質問/要望/意見等はこちらのブログか、インシリコデータのコンタクトアドレス(insilicodata.contact@gmail.com)にメールをいただければ幸いです。
 なお、一部で著者の私的な情報に関する掲示板としても本ブログを利用いたしますが、この点お許しください。
 In this blog, I discuss and write various themes which I cannot edit on the
homepage of the In Silico Data. This blog also partly include a little personal themes.

2018/01/13

新年にあたりまして(3):今年のインシリコデータ活動方針

◆インシリコデータの今後の活動に関しまして:

  インシリコデータの湯田は、大学の薬学部で薬学の基礎を学び、高野誠一研究室にて天然化合物(抗腫瘍性アルカロイド)の合成研究を行ないました。 この期間中、日本で最初に計算機化学(コンピュータケミストリー)を研究テーマに取り上げた故佐々木慎一先生(当時宮城教育大学)下に国内留学をし、計算機化学と化学多変量解析/パターン認識(ケモメトリックス)を学びました。 
  その後、世界で最初に化学多変量解析/パターン認識(ケモメトリックス)研究支援システムのADAPTを開発したJurs教授の下に研究助手として留学しました。 Jurs研では、ケモメトリックスを化合物毒性評価(「芳香族アミンの発癌性評価」)に適用する計算毒性学を研究テーマとして研究し、また、ADAPTの部分開発も行ないました。
  帰国後、豊橋技術科学大学に移られていた故佐々木教授の下でNMRデータベースの構築に二年ほど従事し、その後富士通に入社しました。 富士通では、化合物に関するインシリコ創薬や化合物毒性評価等の分野の研究支援を中心に活動してきました。 この過程で、日本での第5世代人工知能の時代にはルールベースによる様々な人工知能システムを開発しました。 この一つとしてQSAR手法のルーツとなるHansch-Fujita法の創始者である故藤田稔夫先生の発案による創薬支援人工知能システムであるEMILの開発も行なっております。 また、世界最初の商用化合物データベースとなるMACCSの日本での展開や、ADAPTの展開等を行なってきました。 このように活動は、インシリコによる創薬や毒性評価、物性デザインおよびバイオ関連研究を中心としておりました。
  これらの活動実績を基本とし、現在起こっているITや化合物研究分野の大きな変化に臨機応変に対応する事を目指します。 今後は、化合物分野への人工知能適用を中心として活動してゆく所存です。
  先のブログにも書きましたように、化合物分野への人工知能の適用には様々な解決すべき問題が存在し、これらへの挑戦は始まったばかりです。 インシリコデータはこれらの流れに乗り遅れることなく、現在までに学び、経験した様々な技術を駆使して時代の要求に答える人工知能システム構築の一助となるよう活動してまいります。
  インシリコデータは、過去に湯田が開発したKY法に関して多数の特許を取得しております(富士通出願、湯田が発明者)。 今後は、化合物分野への人工知能適用に関する様々な特許の開発と展開を目指します。 また、現在までに行ってきた化合物に関する様々なインシリコ技術に関するノウハウを駆使してのコンサルタント業務も積極的に展開してまいります。

  インシリコデータは、以下の二項目を中心に活動いたします。


1.化合物に関するインシリコ関連技術(特に人工知能)特許の開発と展開

2.化合物に関する様々なインシリコ関連技術に関するコンサルタント業務の展開



  今年度も、よろしくお願い致します。



以上
湯田 浩太郎


新年にあたりまして(2):化合物分野における人工知能の概要と現状

◆化合物分野への人工知能の展開に関しまして:

  日々進歩している人工知能ですが、この技術を化合物関連分野(創薬、毒性評価、物性デザイン、他)に適用するためには様々な条件や技術的なバリアをクリアする事が必要となります。 
  現在の画像認識や音声認識等の分野で急速に成果を出した人工知能ですが、化合物を扱う分野に直接適用する事は出来ず、正しい化合物操作を行なうための細かな関連技術の開発/展開や導入が必要となります。 これは、化合物のアナログ情報を計算機の基本であるデジタル情報に変換する事が必要となるためです。 
  このように、人工知能上で化合物を扱うには様々な関連技術が必要となりますが、これらの技術的な課題について以下に簡単に記載します。 

  第一に、化合物のアナログ情報をコンピュータ(インシリコ)上に正しく乗せるための技術が重要です。 この技術はコンピュータが化合物を扱う時に必要な基本技術です。 このような技術は、
1. 計算機化学(コンピュータケミストリー)
という学問分野で展開され、長い歴史と多くの研究者が関与してきました。 
  計算機化学(コンピュータケミストリー)は化合物のアナログ情報を計算機の基本であるデジタル情報に変換しする技術です。 化合物情報を計算機に正しく乗せて、様々な操作(化合物表示、化合物検索、化合物データベースや化合物データ解析、他)をする上で極めて重要、且つ必須な技術です。 この技術が無ければ化合物をコンピュータ上で扱う事は出来ず、次の段階となる化合物情報を人工知能で扱う段階に進むことは困難です。

  現在発展中の人工知能を化合物の分野に適用するためには、1.で述べた計算機化学(コンピュータケミストリー)の技術に加えて、さらに様々な実施目的に必要となる
2. 化合物情報を正しく人工知能に載せる
ための技術が必要となります。 この段階での技術は世界的にみても開発に取り掛かった段階で、今後さらなる展開が必要となります。

  創薬や毒性評価、化合物物性デザイン等に人工知能を正しく適用するためには、1.の化合物のアナログ情報をコンピュータのデジタル情報に変換する計算機化学(コンピュータケミストリー)技術と、2.の人工知能に載せるための関連技術だけでは、不十分です。

  実際には創薬、毒性評価および化合物デザイン等の
3. 個々の研究分野における様々な特殊要因や専門知識
を理解して、人工知能に反映する事が必要となります。 
  現在の人工知能は発見型なので、このような分野単位の専門知識やノウハウは必要ないと論じる方もおります。 しかし、人工知能を専門分野において正しく、効率よく働かせるには教師データの選択、実行結果の評価等の様々な段階で専門知識やノウハウは不可欠です。 例えば深層学習で基本となる分野の画像認識技術やコンピュータ関連技術だけでは、化合物に関する専門人工知能を構築できないことは明らかです。

  さらに、人工知能そのものの手法や技術に関する知識、人工知能関連分野となる様々な知識(例えば
4. 化学多変量解析/パターン認識(ケモメトリックス
等も必要となります。


1.計算機化学(コンピュータケミストリー)の技術:化合物情報をコンピュータで扱うための基本技術
2.上記1の技術に加えて、人工知能に化合物情報を載せて、理解させる技術
3.個々の適用分野(創薬、毒性評価、物性デザイン、他)に関する様々な知識
4.人工知能に関する知識と、化学多変量解析/パターン認識(ケモメトリックス)等に関する知識




  化合物関連分野に人工知能を正しく適用し、信頼性の高い人工知能へと導くためには、この他に様々な技術の適用が臨機応変に出来る事が求められます。 人工知能という言葉が日常の会話に頻繁に出るようになるにつれ、化合物分野への人工知能の適用も簡単に出来るように見えてきています。 しかし、信頼性が高く、人工知能の適用結果が正しいものへと導けるようにするためには、上記で示したように様々な技術のクリアと理解、連携、融合が必要となります。



以上
湯田 浩太郎



2018/01/10

新年にあたりまして(1):ICT、BD(ビッグデータ)、IoTおよびAI(人工知能)の関係

◆ICT、ビッグデータ、IoTおよびAI(人工知能)の展開

  情報という観点で現在の状況を見てみると、ICTビッグデータという言葉が広範囲に広がり、これらに基づく基本的な展開が急速に拡大、日常生活に浸透している感じになっています。 この二つの言葉に加えて、ここ数年で急速に展開され話題になり、実態を伴ってきたのがIoT人工知能で、特に人工知能の話はここ数年で多数報告され、一日のうちに数回は人工知能の言葉を聴いたり、印刷物を目にするようになりました。
  インシリコデータが昨年より参加させていただいている、経済産業省(METI)による「機能性材料の社会実装を支える高速・高効率な安全性評価技術の開発 -毒性関連ビッグデータを用いた人工知能による次世代型安全性予測手法の開発」(通称AI-SHIPSプロジェクト)も、化合物の毒性予測への人工知能技術の適用を目指しています。

◆現在展開されている人工知能関連に関しまして:

  ICTビッグデータおよびIoTはコンピュータ(インシリコ)が及ぼすインフラに関する言葉であり、一方で人工知能は大きな適用技術を意味する言葉です。 これらは個別に展開されていますが、コンピュータ自体のハード上の様々な機能向上(メモリー、CPU、ネットワーク)が、これらの3技術項目を強力に支えているという事も加速の要因となっています。 現在展開されている人工知能はその基本技術や理論上の展開もありますが、現在の人工知能の展開を行なうに必要/十分な環境がインシリコ関連の3大環境技術 (ICT、ビッグデータ、IoT)の発展に伴い、充実してきた事も事実です。
  現在、急速に展開されている人工知能は深層学習を基本に展開され、画像認識や音声認識等の分野で輝かしい成果を成し遂げています。 これは、一昔前に脳の働きをシミュレートして展開されるニューラルネットワークが進化したものです。 現在の人工知能の急速な展開は、この深層学習により、従来は高い限界があるとされてきたことへの効率的な挑戦が可能になり、様々な分野で高い成果が期待できるようになってきたことです。 また、この深層学習を実施するに必要な環境(特にサンプルデータ)がICT、ビッグデータやIoT等の発展により整ってきている事も、深層学習を用いた人工知能開発にふさわしい環境を生み出しています。 これらのソフトウエア上の環境を支えるコンピュータのハード的な発展(CPU、メモリー、ネットワーク、他)も、現在の人工知能展開の大きな支えとなっています。 また、ソフトウエア的にはAPIが進歩しており、最新の人工知能関連ソフトウエアを言語レベルから展開することなく、機能単位のブロックを積み上げることで高性能の人工知能システムを構築する事が可能となっています。 さらに、時代の変化とともに、様々な解決すべき懸案事項が積み上がってきており、これらの問題が人工知能の適用により解決できる可能性が出てきたことも、人工知能の展開を促進するパワーとなっている事も事実です。 これらの展開は以下の5つの項目にまとめることが出来ます。


1.深層学習等の強力な学習手法の開発/展開があった。
2.ICT,ビッグデータ, IoT等の展開により、深層学習実施に必要な様々なデータが量的/質的、且つ内容的にも揃ってきた。
3.最新の人工知能を実施し、ICT,ビッグデータ, IoT等の展開を可能とするコンピュータ上での進歩があった。
4.API等の進歩や開発により、最新の人工知能技術の適用が、プログラム言語からの展開と比較して飛躍的に向上した。
5.現代社会の進歩により、人工知能の展開が必要/必須となる実需が出てきている。






以上
湯田 浩太郎





2018/01/06

新年明けましておめでとうございます:Happy Holidays and wishing for a splendid New Year 2018 !

新年明けましておめでとうございます。 昨年に引き続き、本年もよろしくご支援お願い致します。



 昨年前半は、手術と入退院を繰り返し、この間に体力を消耗したのが原因で帯状疱疹にかかりました。 7月には完全回復し、8月にシアトルで開催されたWC10 (10th World Congress on Alternatives and Animal Use in the Life Sciences) に参加、ポスター発表しました。
 なお、このWC10大会案内のホームページに私と家内がポスターを見ている写真が掲載されております。 これは、前回2014年にプラハで開催されたWC9でポスターを見ていた時の写真です。 この写真がWC10のホームページで使われるとは思ってもいませんでした。


















 WC10の開催地となったシアトルを見物したのち、カナダのYellowknifeに行き、オーロラ鑑賞しました。 現地には3泊4日おりましたが、滞在最後の4日目にようやくオーロラを観測出来ました。 本当にラッキーで、オーロラもほとんどカテゴリー5(オーロラ鑑賞の程度を示すもので、カテゴリー1から5まであり、5がベストの鑑賞レベルを意味します)であり、本当にオーロラがシャワーのように降ってくるという状態でした。













 昨年は人工知能に明けて人工知能に暮れるという状態でしたが、この流れは今年も続くでしょう。 以前も人工知能が注目され、人工知能が大きく進歩/展開された時がありましたが、コンピュータ(インシリコ)世界の話で、大きな広がりはありませんでした。 今回の人工知能の流れは、コンピュータ自体の進歩や周辺技術の展開も含めて 本格的な時代の変化を伴う流れと強く感じております。 私も、インシリコデータもこの流れについて行き、取り残されないように頑張ってゆきたいと考えます。

 今年もインシリコデータも含めまして、よろしくご支援お願い致します。
以上
湯田 浩太郎