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2013/12/02

東北メディカル・メガバンク機構のシンポジウムに参加しました:2013年11月29日(金)、東京

◇シンポジウム参加報告:

   東北メディカル・メガバンク機構ToMMoTohoku Medical Megabank Organization)のシンポジウムが11月29日(金)に東京にて開催されました。

 今回のシンポジウムはToMMoが活動開始してから東北以外では最初のシンポジウムになるという事もあり、約200人ほど入れる会場も、補助椅子を使うほど大勢の人々で満席状態でした。 このToMMoが多くの人々から注目されていることが如実に示された結果と考えます。当日の会場の様子がこちらにアップされています。
 また、本シンポジウムとその案内パンフレットがこちらにPDF形式で掲載されています。 このパンフレットからもわかるように、シンポジウムのタイトルは「大規模ゲノムコホートからシークエンス解析へ -東北発、次世代型医療への挑戦-」となっております。
 このコホート解析では被検診対象の方々は、東日本大震災において津波により被災された方々で、大きな目的は大震災による津波被害による健康への影響をゲノム情報から解析し、その解析結果を今後の被災者のケア(パーソナライズドメディスン)に役立てることが主たる目的だそうです。人ゲノムを被験者より収集、全ゲノム配列を決め、しかも三世代にわたって収集/追跡を行なうものです。 被験者数も約7万人と大きく、収集地域も福島、宮城、岩手県と東北の東日本部分の広範囲に及ぶもので、日本ばかりか世界的スケールで見ても類の無い実験であり、極めて貴重なデータや解析が出来るものと期待されます。

  報告では、7月19日(金)に調査開始後、本シンポジウムの直前に1009被験者の全ゲノム解析が終了したとの報告であった。 これだけの短期間に、1000以上の全ゲノム解析をやってのけたのは、人ゲノム解析が全世界の共同作業として実施されたことから考えると、本当にこの分野のゲノム解析技術の急速な進歩が実感されます。

  本プロジェクトで解析された人ゲノムデータは、匿名化された後に一般に公開される予定であるとの話でした。 実際にこれらのゲノム情報が公開されると、データの量が半端ではなく、現在急速に展開しているビッグデータ解析等のソフト関連技術やスーパーコンピュータ等のハード関連技術もさらに高度な手法やハードが必須となるでしょう。 一つの分野が従来の規模を大きく超越してくると、それに関連する分野もその超越した分野に引きずられて、さらに大きく飛躍してゆく。 このような正の連鎖が始まるきっかけとなればよいと考えます。

◇サンプリングの重要性
  既に本ブログでも言及しておりますように、データ解析を行なっているとサンプル数と同時にサンプリングも重要であるという事を痛感します。 何らかの解析目的を持って要因解析を行なう時、適用するデータ解析の種類や解析力の強弱よりも、データ解析時に必要となる情報があるか否かという事が重要です。 厳密で、多種多様な解析を目指す場合はデータの品質/内容(実験条件、アノテーション)の方も極めて重要になります。
  データ解析の実施時に必要となる肝心の情報が存在しない場合や、サンプル数やデータ品質の不備がある場合、しばしばデータ解析実施困難となり、出来ても解析信頼性が低い等の問題が発生します。このような、データ解析実施時のサンプリングに関する問題は、本ブログにて時々言及しておりますので、ご参照ください。

  今回集められたサンプルデータは人ゲノム情報ということで、機密保持の観点から匿名化がきちんと行なわれるようになります。 これが完全であればあるほど、解析実施のために既存のサンプルデータに後から追加でデータをリンクする事はかなり難しくなり、この観点でもデータ解析が出来なくなる可能性が高まります。 
  今後の医療や創薬の展開を先取りし、将来発生するであろう様々なデータ解析を想定し、それらの解析に必要な情報を備えたメガバンクへと展開していただければと考えます。

以上


文責 湯田 浩太郎
2013.12.1





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