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2013/02/07

医療診断におけるスタートレックスタイル技術とゴジラスタイル技術:Medical diagnosis by the Star Trek technology and the Godzilla technology

◆医療診断における技術の進歩について:

About progress of the technology on medical diagnoses


 医療分野における診断技術の進歩が著しいようです。医療診断には大きく物理的、化学的および生物的の3分野がありますが、これらそれぞれの分野で検査技術が急激に進歩していることが大きな理由のようです。ここでは、化学検査における診断技術で最新の分析技術を用いた診断(スタートレックスタイル)と、私の記憶にある従来からのアナログ的な技術(ゴジラスタイル)における診断について個人的となりますが、感想を以下にまとめます。

◇最新のスタートレック(Star Trek)技術と、従来からのゴジラ(Godzilla)技術:

Newest Star Trek technology and traditional Godzilla technology on diagnosis of breath


 人の吐く息を分析して病気の診断をするという研究が進んでいるそうです。

 呼気を分析して診断するというのは素晴らしい発想だと思います。もし成功すれば、今までとは全く異なる診断ルートや手法を開発することになるので、新しい分野が開けてきます。大きなインパクトがあります。診断の基本原理はメタボロミクスにおける尿や血液の代わりに呼気が用いられたと考えればよいと思います。


・スタートレック型呼気診断 (Star Trek style diagnosis of breath)
 このようなチャレンジが具体性を帯びてきたのは主として機器分析技術の発達によるところが大きいと言えます。先のトピックスにも書いてありますが、特に呼気に含まれる揮発性有機分子(VOC)の割合が100万分の1から1兆分の1になる(parts-per-million (by volume) to parts-per-trillion range)。これがリアルタイムで分析可能なようになってきたという技術の進歩が大きいと思います。
 研究者はこの技術はスペクトル解析技術のRAFT(real-time air fingerprinting)が基本であり、非侵襲性(non-invasive)で高速診断になるということで説明しています。確かに、記事の写真を見るとStar Trek的な雰囲気が出ています。

・ゴジラ型呼気診断(Godzilla style diagnosis of breath)
 この記事を見て思い出すのは、呼気を用いて診断するという発想は昔もあったという事です。私が最初に知ったのは、呼気を調べて肺がんの診断を行うというアプローチでした。当時は分析技術が進んでいなかったので、犬を用いて肺がん患者特有の呼気を学習させ、肺がんの可能性があると反応(吠える等?)させるというものでした。もっとも、これが実用化されたとは聴いておりませんが・・・。何か、犬が診察室にいて患者の呼気のにおいを嗅いでいるという状況は????ですね。
 ただ、当時感じたのは呼気も他の診断要素と同じように使えるのだという事でした。医者の診断は問診、患者の様子、外見、血液や尿の化学検査、超音波やX線やMRI等の画像診断と様々な情報を利用しますが、呼気もその一つになりうるという事でした。ただ、当時は分析技術が呼気診断が出来るほど進んでいなかったので、犬の嗅覚を利用するという事で、結構真面目に取り組むべきことだったのでしょう。
 

◇呼気診断の可能性:

Potency of the diagnosis of breath

 分析技術が発展してきたので、このようなことへのチャレンジも現実化を帯びてきたのでしょう。私自身は、呼気診断の有効性を一つの大きな可能性のあるチャレンジと考えています。メタボロミクス的な考えで見ると、呼気の中にも代謝化合物はVOCとしていろいろ入っているはずです。病気によってこれらのVOCの種類や割合も大きく変化する事は明白ですし、病気の種類によって、O2、CO2、N2等の比率も変わるはずです。

 記事を見ると、診断データを集めるための被験者を集めているとか、分析機器の開発試験になるとか、他にも研究グループがあり、画像診断や体内流体解析を行う等のチャレンジがされているようですね。まさに、Star Trek-style」的な診断手法にチャレンジしている様子が感じられます。
 
 私は呼気診断にはメリットがいっぱいあると思います。もし、CIR-MSPTR-TOF-MSがコンパクトで車に積めるならば、救急車内での先行診断も可能ですし、集団検診等でも威力を発揮するでしょう。これらは、本格的診断の前に行うプレスクリーニング的診断ですが、診断出来る病気の種類も圧倒的に多くなる可能性があると思います。いままで、診断の空白地帯とされてきた現場での高速・簡易診断が開けてくると思います。実用化にはまだまだ時間がかかるでしょうが・。

◇診断実施のためのデータ解析:

Data analysis for the breath diagnosis

 いずれにしても、本研究はメタボロミクスの大きな枠に入ります。本格的に研究が走ればスペクトルのフィンガープリントデータを用いた病人と正常人との比較をデータ解析で行ない、より精度の高い診断を行なえる診断環境を整える必要がでてきます。このような研究でも多変量解析/パターン認識のデータ解析技術が重要となってきます。
 
 犬を使うゴジラ型の診断から、今回のスタートレック型の診断への移行は時代の流れと感じています。


文責:株式会社 インシリコデータ 湯田 浩太郎



 

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