データ解析の実施目的は「生産の歩留まり向上」です。これを、1%でも良いから上げてゆきたいとの生産現場からの切実な声でした。製品の生産量が多く、単価が高いので、たとえ1%といえどもその効果はすぐ数億円の経費節減に繋がるとの話でした。
話を詳しく聞いてみると、この生産現場の担当者が「見せかけの指標」にこだわりすぎていることがわかりました。生産現場での様々なノウハウを駆使し、歩留まりを下げる要因や、反対に上げる要因等を細かに洗い出し、これらを数値化し線形重回帰で相関係数を求めたところ80%を超えたレベルに達した。そこで、線形重回帰からニューラルネットワーク(NN)による非線形重回帰に変えてみたところ簡単に90%を超えたそうです。これはいけるぞということで、さらに相関係数をあげるべく、考えられる様々なパラメータを考案したり、NNのパラメータを最適化する等の工夫を行ったそうです。この結果、相関係数は98%近くまで向上し、これで大丈夫ということで実際の運用を行ったら、期待した歩留り向上が見られなかったとの話でした。
現在は98%で効果が無かったので、さらに99%を目指して追加パラメータを考案中との話でした。なお、CV(Cross Varidation)はちゃんと行っており、やはり結構高い値を実現しているとの話でした。
この現象は、先に投稿した内容と一見すると逆の現象が出ていますね。先の投稿では学会発表やパンフの指標が高いのに、実際に自分のデータを用いてデータ解析を行うと、そんなに高い値が得られないという事でした。これに対して、今回の投稿内容では、現場で行うデータ解析の結果は理想に近いほど高くまで上げているのに、実際の期待とは大きく離れてしまっているという内容です。
しかし、よく見てみるとこれら二つの投稿の内容は全く同じです。「見せかけの指標」を非常に高い値まで持って行っていること。それと実際の現場での適用結果のギャップが大きいという事ですね。
文責: 株式会社 インシリコデータ 湯田 浩太郎
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