インシリコデータ株式会社関連ブログ;Blog of the In Silico Data Ltd..

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 In this blog, I discuss and write various themes which I cannot edit on the
homepage of the In Silico Data. This blog also partly include a little personal themes.

2021/12/15

タンパク結晶化を実用レベルにした技術の開発者である安達宏昭先生と話すチャンスを得ました:

 「第24回インターフェックスジャパン」にて、株式会社創晶の社長である安達宏昭先生と話すチャンスにめぐまれました。安達先生は創晶の基本技術であるレーザー光を用いたタンパクの結晶化技術を開発されております。この技術により、従来は極めて困難であったタンパクの結晶化を実用レベルのものとし、タンパクの構造決定に大きな役割を果たしてきました。X線結晶構造解析によるタンパクの構造決定には結晶化したタンパクが必須であったため、創晶の技術は極めて重要なものでした。

 創晶のタンパク結晶化技術は液状のタンパクにレーザー光を当てることであります。タンパクの結晶化は暗い場所で長期間静置することが常識であった私たちの頭の中では仰天動地の技術でした。即ち、レーザーを照射すればタンパクは変成して、結晶化どころか壊れてしまうのが常識です。しかし安達先生は、フェムト秒レベルでレーザーを照射することで、タンパクに刺激を与えて結晶化の切っ掛けを生じさせ、実用的レベルでの結晶化を実現されました。

 異分野の技術を導入することで、常識を覆して素晴らしい実績を残されたという点で、研究のブレークスルーには異分野の技術の融合がしばしば素晴らしい結果をもたらすということの大きな事例になります。

 現在はタンパク結晶構造の決定には「クライオ電顕」が用いられます。これにより、タンパクは結晶化することなく構造決定を実施できることが可能となりました。この成果により、2017 年にノーベル化学賞が3人の先生に授与されました。

 この事実を考えると、タンパクの結晶構造解析の主流はX線解析であることを考えれば、タンパクの結晶化を実用レベルにした創晶の技術もノーベル賞レベルかなーと考えます。なお、電顕では電子線をタンパクに照射することが必要ですが、単純に電子線を照射するとレーザー同様にタンパクが変成してしまいます。こちらは、結晶化せずにタンパクを水溶液の極低温・凍結状態で測定することでタンパク変成を解決して、構造決定に導いています。




2021/12/07

Merry Christmas and Happy Holidays

 メリークリスマス!!

 コロナ下で大変な一年となりました。今年は、学会、セミナーや会議もWEBで行うことが中心となり、新たな生活様式が始まり、徐々に常態化しつつあります。

 日本では、徐々にコロナが収まりつつあり、これに伴いオンサイトでの実施やWEBと併用するハイブリッド形式の学会も主催されるようになりました。オミクロン株の問題もあり、来年度はどうなるか予断は許さない状況ですが、今年も無事クリスマスを迎えることが出来ました。これも皆様のご支援のおかげと考えます。改めて御礼申し上げます。





2021/12/06

「オミクロン株は風邪ウイルスの遺伝物質取得の可能性=米研究」 との記事が出ていました:

  先のブログでオミクロン株の変異数は極めて脅威であり、従来の変異とかけ離れた事象であることを述べました。さらにこのオミクロン株には、遺伝子組み換えが起こっている可能性が示されました。

 本日の記事で、オミクロン株は風邪ウイルスの遺伝子の部分的な取り込みにも成功している可能性が報告されました。

 この取り込みにより、「風邪」のように感染性が高まるかもしれないが、一方で軽症者が増える可能性が出てきました。今後、オミクロン株が重症者を増やすか減らすかは詳細な臨床結果が出ないと分かりませんが、今回の報告は正に「ウイズコロナ」と呼ばれる生活が出来る可能性が出てきたことを示します。もし重症化しにくく軽症で済むということであれば、一刻も早くオミクロン株がデルタ株に置き換わることを願うばかりです。さらに、インフルエンザ関連の医薬品適用も考えられるようになり、治療や予防の選択肢も広がるでしょう。

 遺伝子の変異ということはなかなか発生しないのですが、異なる生物種の遺伝子の一部分の組み換えや消失、導入等は良く発生するし、人間はこの遺伝子組み換え技術を既に獲得しています。一般生活でも、様々な特性を持った遺伝子組み換え野菜が多数市場に出てきていることは既存の事実です。もちろん安全性等で様々な問題点はありますが・・。