インシリコデータ株式会社関連ブログ;Blog of the In Silico Data Ltd..

 ようこそ(株)インシリコデータブログへ。このブログでは、主としてインシリコデータのホームページでは直接編集できない細かな内容をフォローいたします。本ブログ内容等に関する質問/要望/意見等はこちらのブログか、インシリコデータのコンタクトアドレス(contact@insilicodata.com)にいただければ幸いです。
 なお、一部で著者の私的な情報に関する掲示板としても本ブログを利用いたしますが、この点お許しください。
 In this blog, I discuss and write various themes which I cannot edit on the
homepage of the In Silico Data. This blog also partly include a little personal themes.

2014/11/22

お知らせ:インシリコデータが学会で展示ブースを設けます。 Notice: The In Silico Data will provide a booth at the JSAAE conference

 既に、インシリコスクリーニングブログでお知らせしましたように、インシリコデータが学会で展示ブースを設けます。 展示する学会は動物実験代替法学会(JSAAE: The Japanese Society for Alternatives to Animal Experiments)です。

 今回の出展はインシリコデータ社が創業してからの最初の出展活動となります。 
 日本には前例のなかった業務内容(インシリコ毒(安全)性スクリーニングに特化したインシリコ関連総合コンサルタント) であるにもかかわらず、時代の流れや急激な変化も大きな支援となり、激流の中で揉まれながら成長を続けてきました。

 10月末のCBI大会ではCBI学会の一組織として「計算機毒性学(Computational Toxicology)」研究会の立ち上げとなるキックオフミーティングを実施する事が出来ました。 これも学会傘下に設立された日本最初の「計算毒性学」に関する研究組織であり、毒(安全)性に関係する多くの方々の注目を浴び、参加会員数も順調に増えています。 今後は、この研究会の活動をより具体的な内容にし、会員の皆様方の期待に答えられるように頑張ってゆくつもりです。

 インシリコデータの独自技術としてのKY(K-step Yard sampling)法は、化合物の毒性評価という観点では他に追随を許さない技術です。 開発された6種類のKY法は日本、USA、EUに特許出願され、現在ではこれらの殆どが特許となりました。 今後はこのKY法を、インシリコ毒性スクリーニングの標準となるように世界に訴えてゆきたいと考えています。

 時代の流れとして「化合物毒性スクリーニング」の需要は、毒性や副作用のない創薬研究、化審法やREACH等の化合物規制に関連する全ての化合物、環境規制に関係する分野、さらには今回出展を行なう動物実験代替法分野と急激に増えています。 このような大きな時代の変化に対応し、一歩先を行くべく努力してまいります。 

 株式会社 インシリコデータが成長を続けられたのも、多くの皆様方の暖かいご支援があったが故であると感謝いたしております。 
 今後もよろしくご支援のほどお願い致します。


以上


湯田 浩太郎

2014/11/21

WC9での写真集をアップしました:

 遅くなりましたが、8月24日-28日にチエコスロバキアのプラハで開催された9th World Congress on Alternatives and Animal Use in the Life Sciences (WC9)にてポスター発表を行なった時の写真をアップしました。 学会会場、プラハ城、カレル橋、モルダウ川、プラハ市内、またチエコスロバキアの他の世界遺産である、チェスキー・クルムロフの写真等です。

 学会終了後プラハから鉄道でベルリンに移動し、ベルリンの市街観光を楽しみました。 その時の写真もアップします。ベルリンはいたるところ建設ラッシュでした。 美術館も、遺跡である建物をそのまま室内に持ち込んで展示するというパーガモン美術館は巨大な歴史的建造物がそのまま展示されるという、圧倒的な迫力であり、写真ではその大きさを表現できないのが残念です。 その他、ブランデンブルク門や、ベルリンフィルハーモニーの生演奏を聴いてきました。 この日は、新シーズンの始まる初日の演奏会という事で、演奏会場には正装した多くの人々が集い、ヨーロッパにおける音楽に対する伝統的なものを感じることが出来ました。 曲は「火の鳥」でした。
 写真はあまり整理されていませんが、楽しんでください。


以上 

2014/11/17

スポーツジムに通い始めました: I started going to the athletic gym

◇健康医療目的のスポーツジム利用
 自宅の最寄り駅の新習志野駅前に千葉県国際総合水泳場があります。駅の真ん前にあり、交通の便が良く千葉県の大きな水泳競技がしばしば開催されています。 この水泳場の中にスポーツジムがあり、時間がある時はそちらに行くようになりました。 
 このジムに行く目的は、体力や運動に使う筋肉を育てて鍛えるというスポーツ的な観点ではなく、年とともに弱りつつある筋肉を少しでも維持したいという観点での参加となります。 つまり、健康医療のスポーツ版という観点でのジム通いです。

◇シルバーパス
 現在私は67歳ですが、この年だと様々な施設を利用する時に特典がつきます。 スポーツジムのある千葉県国際総合水泳場に入るのは無料で、シルバーパスをつくってもらっています。 先日は谷津ばら園に行ったのですが、ここでも入場料が無料でした。 また、7月に仕事で金沢に行きましたが、時間がとれたので観光目的で兼六園に行ったのですが、ここも無料でした。 

◇トレーニング
 千葉県国際総合水泳場は水泳場が主体なのでジム自体はさほど大きくないのですが、いろいろなトレーニングマシンが備えてあり、筋トレの目的や内容に従って様々な機器を使う事が出来ます。 弱ったなーと感じる筋肉を集中的にトレーニングしたり、ウォーキングマシンのような総合トレーニング関連のマシンを自由に使えます。 
 現在は、自宅の階段の上り下りが少しきつく感じるようになってきたので、この上り下りに関係する筋肉強化を目指してトレーニングしています。 確かにトレーニングを開始してからは、以前感じていた階段の上り下りでの違和感が殆ど無くなってきました。 今後は、いろいろなマシンを使いながら、トレーニングを行なってゆくつもりです。 

以上

2014/10/01

時代の変化に対応したオムニバス教育:Omnibus education corresponding to the changes of the era

先日、(9月25日(木))開催された「薬づくりの新しいR&Dモデルを探る」セミナーシリーズ の第四回目として開催されました、「ICT活用のフロンティアと求められる人材」に参加してきました。
 本セミナーで感じたことは大きく以下の二つです。
1.複数の研究分野で構成されて実現される、いわゆる境界領域研究が急速に増えてきていること。
2.複数の研究分野にまたがる研究を行なう、あるいはそのような分野で活躍する人材の育成が急務であるが、極めて難しいこと。

 1の問題は、個々の分野の技術を高めることで解決してきたことが、さらに高度な内容に答えるために、他の分野の技術との融合が必要となることです。例えば、燃費の効率向上を目指すために行なう自動車の軽量化が、金属の分野から炭素繊維等の分野にも広がりつつあることなどがあるでしょう。炭素繊維等の技術は、金属一筋の研究の延長からは考えられないものです。
 また、医療分野では現在は、単に機器を用いた様々な医療情報に加えて、遺伝子等の情報を加味して最終的な診断を行なう事が必要となりつつあり、機器による情報に加えて遺伝子関連の情報を理解して総合的に診断する技術が要求されます。

 このような学際研究分野の極みと言えるのが計算機毒性学(Computational Toxicology)に関する研究です。計算毒性学を実施するのに関与する研究内容としては毒性の種類や研究内容により組み合わせ項目が変化しますが、毒性学、コンピュータ関連技術、化学研究、環境学、バイオテクノロジー、メタボロミクス、計算機化学、データ解析技術等々の研究が関与し、これらの組み合わせをまとめる、あるいは実現する事で可能となる、極めて学際性の高い学問となります。
 極めて学際性が高いため、計算毒性学研究はどの研究分野でも扱われることが無かったのですが、最近になり毒性関連の研究環境が大きく変化し、計算毒性学の必要性が急速に高まってきました。既に西欧では計算毒性学に関する研究が始まっており、幾つかのワークショップ等が活動しており、幾つか成果を出しつつあります。日本では、計算毒性学を取り上げた研究機関はなく、この分野では西欧に後れを取っており、将来の展開において日本は西欧の後塵を拝するという状況になります。
 このような事実を少しでも解消すべく、先のブログでも報告しましたようにCBI学会に「計算機毒性学(Computational Toxicology)」研究会を設立いたしました。本研究会は、より多くの研究者の方々に参加いただきたく、参加にあたりましてCBI学会である必要はありません。CBI学会会員以外の方々にも積極的に参加いただきたく存じます。

 2の問題(学際研究を行なう人材育成)が当日行なわれましたセミナーの大きな討論項目となりました。
 東大農学部の永田宏次先生より、東大農学部では既に10年前より農学部内で講座の境界を越えた教育として以下のようなプログラムを実際に実施しているとの報告がありました。

東京大学大学院農学生命科学研究科、アグリバイオインフォマティクス教育研究ユニット
 http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/index.shtml
 確かに内容を見ると様々な研究分野が網羅されており、このような教育が受けられるのは、今後重要になる学際領域研究を担う人材の育成に大きな役割を果たすことが出来るものです。
 以前私は、農学部の研究は幅が広く農学と一言で言うが、それを構成する分野は農芸/食品化学、生物、バイオテクノロジー、発酵/醸造、昆虫/獣医学、生態学と極めて広い研究分野から構成されているという話は聞いたことがありました。私の所属していた薬学部もある意味では学際領域研究であり、様々な研究分野から構成されていましたが、農学部はそれ以上のスケールで広範囲な研究分野から構成されております。この意味で、現在必要とされるオムニバス教育が出来る環境にあると言えるでしょう。

 このようなオムニバス教育を実施する場合、個々の講義を務める先生は、個々の研究分野でスキルを高めた先生で実施出来ます。しかし、実際に学際研究を行なおうとすると、複数の研究分野を横断的に俯瞰し、個々の研究分野のベクトルをまとめ、当面の研究ターゲットに向けての方向づけを行なうスーパーバイザー的な人材が必要となります。このようなスーパーバイザー的な人材が、現在のオムニバス教育により育ってゆくものと期待できます。

 一時、創薬研究分野でADME/Tの研究が創薬において極めて重要ということで、多くの製薬会社が自社内のADME研究者と毒性(安全性)研究者を集め、これに創薬関連の研究者を加え、研究分野横断的なチームを形成してADME/Tの融合研究に対処するという事がブームとなった時がありました。しかし、ADME研究と毒性研究者、さらには創薬研究者とのバックグラウンドの違い、例えば化合物一つとっても創薬研究者は構造式が基本で考えて討論するが、ADMEや毒性では構造式中心の議論はあまり行なわれない。このような場合にも、創薬/ADME/Tを俯瞰出来て、全体の議論をまとめて、ベクトルを一本化する事の出来る人材が必要である。このような人材が、前記オムニバス教育等により達成できると期待できると思います。

 農学部のような広範囲な研究者を抱えた学部で実現出来るオムニバス教育にも限界があると考えます。j時代の急激な変化に耐え、研究を先導する学際研究を担う研究者を育てるには、学部を超えた教育体制が必要です。学生が、必要に応じて好きな学問を選択できる(数学、物理、コンピュータ、生物、化学、バイオ、工学、等々)仕組みが必要になると考えます。入学時から学部が決まってしまう日本の教育システムではある意味極めて困難でしょう。しかし、これが出来ないと真の学際研究に耐える研究者を育てることは夢と言えるでしょう。

文責:湯田 浩太郎

2014/08/03

同時に開催された二か所の花火大会の打ち上げ花火を見物出来ました:I saw a skyrocket fireworks of two places, which was held at the same time.

 今日は海浜幕張と新習志野で同時に開催された花火大会の打ち上げ花火を、新築した家の三階から見物しました。
 以前は二階建だったので、花火大会があっても家からみることは出来なかったのですが、三階からはきれいにみることが出来ました。 天気は晴れで、月もきれいで、風も適度に吹いており、絶好の花火大会コンディションでした。

 家は新習志野駅と谷津干潟の中間くらいに位置しています。 今年から、海浜幕張の花火大会に加えて習志野市の花火大会も新習志野駅付近の海岸で開催されたので、二か所で打ち上げられる花火を見物する事が出来ました。 家のロケーションからは新習志野市の打ち上げ花火が殆ど真正面に見えて、近いので大きく見えて音も腹に少し響きます。 一方で、海浜幕張の花火は斜め左方向に見えて、若干遠めですので少し小さく見えますが、殆ど問題なくきれいに見えました。

 低い位置での花火(ナイアガラ等:やっていれば)は見えませんが、大きな打ち上げ花火は問題なく見えました。 但し、打ち上げ高度が低い花火は、海浜幕張のものは公園の立木の陰に隠れて見えませんでしたが、新習志野の花火は見ることが出来ました。 家の中という特等席から飲み物を飲みながらゆったりと二か所の花火を見れるのはとても優雅な気分になれました。

 現在の家のロケーションはすばらしいと実感しています。 今回の花火大会もですが、すぐ近くには大きな緩衝緑地があり、テニス場や野球場、サッカー場があります。 また、谷津干潟も徒歩数分で行けます。 埋立地ですが道路がまっすぐで広く、すっきりしています。 大地震の時の液状化現象は、家の付近ではあまり影響はありませんでした。 また、近くはララポートや幕張のイオンモールもあり、どちらにも自転車で行けるので便利です。 メッセも隣の駅にあり、東京駅にも乗り換えなく京葉線一本で行けます。 これらに加えて、花火大会も二か所のものが家から直接見れるというおまけがつきました。 現在、家に関しては満足しています。

以上
湯田 浩太郎

2014/07/25

金沢大学のセミナーで若い研究者に力づけられました:At the seminar of Kanazawa University, I was encouraged by the young researchers

 7月18日に金沢大学で講演致しました。
 セミナーには学生や若い研究者が多く参加されていました。 これは、既に分野が確立され、多くの研究者が関与している従来の研究分野と異なり、現在の日本ではあまり実施されておらず、関与する研究者も殆どいない「計算機毒性学(Computational Toxicology)」の普及という観点で、私にとりましては大変貴重なチャンスを与えていただいたと考えます。
 この講演で、私は若い研究者からの質問に深い感銘を受け、元気づけられました。

 私は講演の中で、「化合物毒性の予測率は10年前、いや私がこの分野で研究を始めた30年前から殆ど変っていない」と話しました。
 この話の意図は、化合物の毒性予測というのが極めて難しい問題であり、様々な技術(特にコンピュータ、さらにはデータ解析技術)が一昔と比較して急速に進歩した現代でも、大幅な予測率向上が実現できない極めてやっかいな問題であると知ってほしいというものでした。
 講演後に学生の方に話しかけられました。 ”先生、予測が難しいとの話ですが、将来的に予測率は上がってゆくでしょう。 そうしたら、創薬や化合物規制、環境その他の問題が全て一気に解決しますよね”、と言われました。

 この意見は、私に非常に大きなインパクトを与えました。
 私自身の約30年に及ぶ長い経験から、化合物毒性予測は極めて難しく、大幅な向上はあまり期待できないという、半分はあきらめにも似た考えが心の中に育っておりました。 学生様の話は、私がこの分野で研究を始めたころに持っていた、「問題を解決するぞ」というチャレンジ精神がいつのまにか無くなり、「出来ないことは出来ない」という安易な考えに陥り、その考えで自分をなぐさめていたことに気づかされました。 

 現在はインシリコによる化合物毒性予測が極めて困難なため、類似化合物からの毒性予測や、毒性メカニズムを解明してからメカニズムに基づいて毒性予測を行なうという、インシリコとはあまり関係の無い形での毒性予測に移りつつあります。 確かにこの方が、間接的ではありますが、理屈が付けやすく、従来型の研究者にも扱えるアプローチとなります。
 しかし、インシリコによる毒性予測が急速にその重要性を増したのは、多数の化合物の処理問題、現存する、あるいは開発中の化合物の早急な毒性予測が必要という現実的な問題が差し迫ってきたからです。
 類似化合物からの毒性予測は、類似化合物が無い場合の問題や、予測率そのものが低く、類似の基準により予測結果が大きく変動する等の欠点の克服が必要です。 また、毒性メカニズム解明からの毒性予測は、極めて時間のかかるアプローチであり、従来手法の域を超えません。 これは、毒性よりも進歩している薬理活性を考えればすぐわかります。 薬理活性メカニズムの探索も大変な時間と研究が必要ですが、薬理活性メカニズムがわかってもその後の新規薬物探索が極めて困難であるという現実があります。 毒性は薬理活性と比較してメカニズム自体が複雑ですし、メカニズムがわかったから化合物毒性をすぐ予測出来るというような単純なものではありません。 毒性メカニズム優先のアプローチは、時代が要求する大量処理と早急な毒性予測への対応というよりは、サイエンス的な観点を重視した従来型の展開の繰り返しと言えるでしょう。 研究目的が違うと考えるべきです。

 インシリコによる化合物毒性予測は実施すれば必ず答えが出ますが、そこそこの値となります。 コンピュータの計算能力が30年前と比較して信じられないほど高速になり、データ解析手法等も昔と比較して様々な手法が展開されていますが、化合物毒性予測の結果は昔と殆ど変りありません。 以上の事実に甘んじて、いつのまにか「出来ないものは出来ない」という安易な気持ちになっていた自分を、学生様の意見は気付かせてくれました。 

 改めて初心に戻り、インシリコによる化合物毒性予測の精度を高めることを目指します。 これが実現出来れば、創薬、機能性化合物、環境、動物実験廃止への完全対応が全て実現されます。 これが実現した時、世界は大きく変わるでしょう。
 金沢大学の学生の方々に改めて感謝いたします。 頑張ります。

文責:湯田 浩太郎

2014/07/01

創薬動態フォーラムにて講演致します

 金沢大学薬学シンポジウム2014 -創薬動態フォーラム in 金沢-にて湯田が講演致します。
 本シンポジウムは、7月18日(金)開催され、場所は金沢大学角間キャンパス 自然科学図書館大会議室、時間は13:00-17:35となっております。 4人の先生方が講演され、私の講演演題は 「インシリコADMET予測の現状と今後の創薬への展望:化学多変量解析/パターン認識を基本として」となります。
 若い学生の方々や本研究分野にご興味を持たれております研究者の方々と討論出来ますことを楽しみにいたしております。
以上

文責:湯田 浩太郎

2014/04/21

「計算毒性学」研究会のキックオフミーティングが開催されます:Kick-off meeting of the "computational toxicology" will be held

  「計算毒性学(Computational Toxicology)」研究会がCBI学会で設立されました。 この、設立キックオフミーティングが8月8日(金)-9日(日)に愛媛県にて開催されます「CBI学会夏の合宿2014 in道後/松山」の二日目に予定されています。 なお初日は、CBI学会が実施しております研究講演会が予定されております。 当日のプログラム内容の詳細は決まり次第WEBにアップされますので、チエックお願いいたします。
  計算機による化合物毒性研究にご興味ある方々の積極的な参加をお待ちいたします。 日本には「計算毒性学」の専門家がおりませんので、様々なバックグラウンドを有する多くの方々の参加により、本「計算毒性学」の展開や発展を目指すパワーにしてゆこうと思います。
  本アナウンスは、「計算毒性学」の発展と情報交換の場を目指すブログである「楽しく、失敗がなく、良く理解できるインシリコ毒性スクリーニング学習塾」に、より詳しく掲載されておりますので、そちらもご参照ください。


文責:湯田 浩太郎

2014.4. 21

2014/03/21

CBI学会にて、「計算毒性学」研究会の設立が承認されました:The CBI society recognized establishment of the "computational toxicology" workshop.

 かねてよりCBI学会に提案しておりました「計算毒性学(Computational Toxicology)」研究会の設立が、先日行われましたCBI学会の執行委員会にて承認されましたので報告いたします。

 「計算毒性学」は、最近になり様々な分野で急速にその必要性が増大しつつあり、同時に時代の背景や要請もあり、その果たす役割は一層のこと重要性を増すものと予想されます。 

 このような急激な状況変化を受け、欧米では「計算毒性学」を標榜する組織やワークショップ等が立ち上がっております。 しかし、日本では「計算毒性学」の認知度が殆ど無く、正式な活動を行なう組織もグループも存在しない状況にありました。
 今回、CBI学会により「計算毒性学」研究会の設立が承認されたことで、公式の場での活動が可能となり、本研究分野に興味を持つ多くの研究者の方々との情報交換や研究が進むようになることを期待しております。

 本件に関しますより詳細な報告は、旧「インシリコスクリーニングブログ」⇒新「楽しく、失敗がなく、良く理解できるインシリコ毒性スクリーニング学習塾 」に掲載してありますので、ご興味のある方はこちらを参照ください。今後「計算毒性学」に関する情報発信は、そちらのブログにて行います。

以上

文責:湯田 浩太郎

2014.3.20

2014/02/18

hiPSCのセミナーに参加発表いたしました: Report of the hiPSC seminar


  2月13日(木)に開催された国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)主催の公開シンポジウム「ヒトiPS細胞の創薬プロセスへの応用」に参加しました。 私は、NIHSの石田誠一先生との連名で「hiPSC-肝細胞とインシリコのデータ融合による安全性予測/メカニズム解析に向けた考察」というタイトルで講演発表いたしました。

 ヒトiPS細胞の応用では現時点では再生医療がメインとなって展開されています。 この展開に加え、今後は創薬関連分野への展開が急速に広がると考えられます。 この理由は、ヒト由来の細胞や臓器を創薬研究に利用できることが大きな要因となります。

1.動物実験のヒトへの外挿問題の根本的解決が可能となる
  創薬研究では、合成された化合物が目的薬理活性を有するか、良好なADME特性を有するか、さらには毒性や副作用が無いことをチエックするのに極めて多数の実験を行なう事が必要です。 この実験の大部分で動物実験が行なわれています。 薬の最終利用者は人であるので、動物実験で得られた実験データをヒトへの実験に外挿することが必要となります。 この動物から得られた実験結果をヒトへの実験へと外挿する問題は、様々な点で極めて困難であり、現在でも確実に人への外挿をすることは出来ておりません。 
 この創薬における最も厄介な問題を、ヒト由来の細胞や組織、臓器を利用する事が出来るhiPSCを用いることで完全に解決する事が可能となります。 また、個人由来の細胞を用いた実験が簡便に出来るようになれば、個人単位で薬物を調整する事が可能となり、遺伝子に頼らない真の意味でのテーラーメード医療が実現する事になるでしょう。

2.動物実験フリーの創薬が可能となる
  現在、EUでは化粧品等の分野では動物実験結果を規制当局に申請する事は出来なくなっております。 これは、動物愛護の観点から、人に適用する医療と関係の無い化製品等の申請時に必要となるデータを、多数の動物の犠牲による動物実験データを使うのは望ましくないという考えに基づいています。 動物愛護に基本をおくこのような考えは、医療分野にも少なからず影響し、可能な限り動物実験に用いる個体数を減少する事が時代の要請となってきています。 従って、医療分野といえども多数の動物を用いての実験は徐々に減少方向に向かいつつあります。
  このように、動物実験そのものも実施条件が厳しくなっている上に、動物から人への解決困難な外挿問題も存在しています。 hiPSCを用いることは、動物実験をする必要が無くなることを意味し、前記動物データのヒトへの外挿問題の根本的な解決が可能となり、さらには動物愛護の観点からの動物実験禁止への根本的な対応が可能となります。

  安全性(毒性)スクリーニングという観点でhiPSCを考えるならば、再生医療に要求されるような非常に高いレベルでの細胞の品質と純度が要求されるわけではないと考えます。 例えば変異原性試験のAmes試験について考えるならば、菌の種類が複数存在し、菌の種類単位で変異原性を決めるのか、あるいは複数の菌のデータを合わせた結果を用いるかで、スクリーニング結果は異なってきます。 現在実施されている安全性(毒性)スクリーニングの実情を考えるならば、実験に用いるhiPSCの品質の問題は確かに重要ですが、スクリーニングの実施目的は何であるかを考えた時、再生医療で求められる品質と必ずしも同じレベルが求められるとは考えにくいと思います。
  薬理活性やADME、安全性(毒性)に関する化合物スクリーニング実施時の、実施目的にかなうhiPSCのあるべき姿というものを追求する事が大切であると考えます。 いずれにしても、動物実験フリーという条件は、従来の動物実験を用いたスクリーニングが抱えていた動物からヒトへの外挿問題と、動物愛護という極めて解決困難な二つの問題を一気に解決する可能性を有しております。

以上

文責:湯田 浩太郎
2014.2.18


2014/01/06

新年のお祝いとご挨拶: A Happy New Year and Greetings

 皆様の温かいご支援のおかげにて、2014年を無事迎えることが出来ました。
 改めまして新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、私が仕事をしておりますインシリによる安全性評価研究分野での変化が広範囲に、かつ技術的にも大きく変化していることを感じた一年となりました。 この大きな変化をチャンスととらえ、世界に貢献できる技術の開発とその普及に全力を尽くす所存です。 今後ともよろしくご支援いただけますようお願い申し上げます。

◇インシリコ安全性研究を取り巻く環境の変化(創薬関連研究分野)
 安全性研究分野は、インシリコ技術という観点からはここ数十年にわたりほぼ変化の無かった無風状態の研究分野でした。 しかし、昨年はこのインシリコ安全性研究を取り巻く環境が大きく変化していることを実感させられた一年となりました。

 以前のTox研究は、薬理活性主体の創薬関連研究においては、薬理活性以外の研究分野という観点からかADME研究の一部としてTox研究が組み込まれて議論されることが多く、ADMETという言葉で代表されていました。 ADMEとToxは研究内容からも技術的な観点でも大きく異なります。 従って、私としてはADMETとして一緒に扱う事には大きな違和感がありましたが、これが時代の主流となっていました。 
 しかし、ADMETの議論を行なう過程でインシリコも含めた様々な技術関連の知識が普及するにつれ、ADMEとToxでは適用技術が大きく異なることが一般研究者の方々にも少しずつ見えてくるようになりました。 さらには、安全性研究の重要さが次第に大きくなり、適用手法も、技術的な内容もADMEとToxとでは一部の技術を除けば大きく異なるため、ADMEとToxでの研究分野間での技術の転用が極めて困難であることが理解されるようになりました。 この結果、現在や今後はADMETのようにADMEとToxを一緒にした議論が少なくなり、ADMEやToxの個々の研究分野で正当な議論がなされるようになるものと期待しています。 もちろん、より研究が進みADMEとToxを統一した議論が可能となるような理論が出てくることが理想であることに変わりはありません。 極端にいえば、生体反応という観点で見れば、薬理活性、ADME、Toxと全て同じですから・・。


◇インシリコ安全性研究を取り巻く環境の変化(創薬およびその他の安全性関連研究分野)
 インシリコ関連技術が安全性研究分野で急速にその重要性を増大させていることを日々実感いたしております。 創薬における安全性(毒性)研究、環境分野におけるハザード概念の普及、動物愛護の観点からの動物実験代替法としての適用、政府関連の化合物規制での適用等、インシリコ安全性関連技術の適用分野の広がりや研究の重要性が日々増大しております。


◇生体および化合物インシリコ安全性研究を取り巻く様々な変化
 私が従来から行なっております化学データ解析技術自体も大きく進歩しています。 基本となるデータ解析自体もコンピュータの進歩のみならず、扱うデータの量も急激に拡大し、現在はやりのビッグデータ解析等データ解析の重要な基本技術となっています。
 私の行なうデータ解析は生物や化合物のデータを扱う特殊な研究分野ですが、やはり扱うデータ量も急激に増大しており、ビッグデータ解析関連の技術の適用も重要となっています。 生物や化合物のアナログデータをデジタルデータに変換して目的のデータ解析を効率よく行なう。 これには長い基礎研究の流れがあり、先行する多くの研究者の成果や実績の上に立っての新たな技術的な進展が必須です。 また、適用分野におけるある程度の知識も必要となります。 
 インシリコデータはこのような時代の要求に答えることを目指して頑張ります。


2014.01.06
文責:湯田 浩太郎